夏に入ってから、そう感じている人も多いのではないでしょうか。
私も同じコースを走って、涼しい時期と比べると体感のスピードと実際のスピードにズレがありました。
でも、これは走力が落ちたわけではありません。
夏にペースが落ちるのは、身体が暑さに対応している結果です。
この記事では、私自身のGarminの記録を一例に、夏の練習の組み替え方を整理します。
個人的結論:守るべきはこの3つ
①イージー走は体感のきつさを重視
ゆっくりのジョグ(Eペース。会話しながら走れる強度)は、ペースを気にしすぎずに自分の体感でこれは余裕だなと思うところをキープして走るのが吉です。
「誰かと会話ができるくらい」を守れば、ペースが落ちても正解です。
②閾値走は普段のペースから30秒緩めて走る
閾値走(LT走。1時間ほど維持できるきつさの練習)も同じです。
夏はペースを緩めて、(1キロ平均30秒くらい緩めても、実際の練習強度はそんなに変わりません)ペースを刻めるラインで走るのが正解です。
無理にいつものペースで押して、フォームもペースも悪い方向に向かっていくのは避けたいと思いました!
【Tペースそのものの決め方は、別記事で詳しく書いています👇】

③ロング走は距離でなく時間で
夏のロング走は「20km走る」ではなく「90分走る」と決めます。
遅くなっても時間が同じなら、心臓と脚への刺激は確保できます。距離にこだわると、後半に脱水のリスクが高まります。熱中症になって長期間練習できない方が良くないです!
補足:なぜ夏はペースが落ちるのか
落ちるのは脚ではありません。体温を下げる働きに、身体の力が回されているからです。
暑いと身体は、皮膚に血液を送って熱を逃がし、汗をかいて体温を下げようとします。この体温調節に循環が使われるぶん、同じペースで走っても心臓の仕事は増えます。
さらに汗をかき続ければ、体内の水分は減っていきます。体温が上がりすぎれば、身体は自分を守る方向に働きます。
どれも、走力が落ちたから起きることではありません。暑さのなかで身体が正常に働いた結果です。
私の場合、同じコースで33秒遅くなった
ここで、私の実際の記録を一例として紹介します。同じコースを、春と夏に同じ感覚で走ったものです。
- 気温:春(3/29 朝)16℃ / 夏(7/20 昼)34℃
- 距離:10.51km / 10.72km
- 平均ペース:5:43/km / 6:16/km
- 平均心拍:146bpm / 150bpm


ペースは33秒/kmも遅いのに、心拍は4bpm高くなっていました。楽をして遅くなったのではありません。体感のペース感覚は同じ、しかしタイムは落ちている。少なくとも私の場合はそうでした。
ただし、この数字はそのまま鵜呑みにしないでください。春は朝9時台、夏は昼2時台に走っていて、時間帯も日射も違います。1回ずつの記録なので、数字そのものは参考程度です。
大事なのは数字の大きさより、方向です。遅くなっているのに、心拍はむしろ下がらない。夏はこの向きの変化が起きると考えておけば十分です。
もう一つ敵が湿度です。同じ28℃でも、湿度が高い日は一段ときつくなります。汗が蒸発しにくく、熱が逃げないからです。
しゅんたモワッとした空気の中で走るのキツイですよね。
環境省が熱中症の指標としている暑さ指数(WBGT)も、気温だけでなく湿度と日射・輻射を組み合わせて算出されているみたいです。この時期は特に気温の数字だけで判断しないほうが安全です。
数字が同じでも、体に残る疲労は違う
夏の練習で一番やってはいけないのは、春と同じペースを追うことです。
ここで、もう一つ私の記録を紹介します。1kmを3分40秒で走るインターバル練習を、涼しい6月と暑い7月で比べたものです。
- 1本目:初夏(6/5 19℃)3:46 / 盛夏(7/15 29℃)3:42
- 2本目:3:37 / 3:43
- 3本目:3:37 / 3:42
- 4本目:3:38 / 3:45
- 5本目:3:40 / 3:42
- 平均心拍:175bpm / 174bpm


数字だけ見ると、ほとんど差がありません。ペースはどちらも平均3分40秒前後。心拍も174と175で、ほぼ同じでした。
でも、走っているときの感覚は全然違いました。7月のほうが明らかにきつく、同じ本数をこなすのがやっとでした。
そして走り終えた後の疲労が、なかなか抜けませんでした。
夏場でもペースを変えずに行うことは確かに可能ですが、その後の疲労感と疲労の抜けなさが良くないのでおすすめはできません。
これが夏の怖いところです。ペースや心拍という数字が同じでも、体に残る負担は暑い日のほうがずっと大きい。
数字だけを追っていると、この見えない負担を見落とします。だから夏は、数字に加えて体の感覚を一番の物差しにします。
暑さへの慣れは、数日から2週間ほどで進む
夏の走りがきついのは、最初のうちという面もあります。身体には暑さに慣れる仕組みがあるからです。
これを暑熱順化(しょねつじゅんか)と呼びます。環境省の資料では、慣れるまでにかかるのは数日から2週間程度とされています。
順化が進むと、汗をかく量や皮膚の血流が増え、熱を逃がしやすい身体になります。
進めるコツは、いきなり炎天下で追い込まないことです。朝夕の涼しい時間に、汗ばむ程度の運動を続けるだけでかまいません。
ただし、暑さから離れると効果は落ちていきます。夏の間はコンスタントに走り続けることが、結局は近道です。
夏に落としていい練習・死守する練習
先ほどのインターバルのように、同じペースで走れても体に残る負担は大きい。だから夏は、本数や頻度も欲張らないことが大切です。
私自身、7月は走った後の疲労が抜けにくいと、はっきり感じました。
だから「捨てるもの」と「守るもの」を最初に決めます。
- ○ 落としていい:設定ペース/1回の距離/真昼の練習
- × 落とさない:走る頻度(週の回数)/ロング走の「時間」/睡眠と補給
完璧にこれを守る必要はありませんが意識付けに、ぜひこれを基準にしてみて下さい!
まとめ
私の記録でも、同じジョグで33秒/km遅く、心拍はむしろ高くなっていました。速さが変わらないインターバルでも、暑い日は体感のきつさと疲労が段違いでした。
夏にやることは一つだけです。ペースという物差しを、いったん手放すこと。
心拍と体の感覚で強度を守れば、秋には涼しさとともにペースが戻ります。まずは今週の1回を、ペース表示を見ずに体感楽なペースで走ってみてください!

